はじめに & 今年の振り返り
みなさん、お疲れ様です!ミラティブのiOSエンジニア[いっちー]です。 年末が近づき、開発チームでもリリースやメンテナンス対応に追われる時期になりました。 思えば、iOSエンジニアにとっては今年もずっと忙しい1年間だったかもしれませんね?
ちょうど1年ほど前にはCocoaPods Trunk Read-only Planが発表され、我々もSwift Package Managerへの完全移行を本格的に進め始めました。
さらに 5月にはAppleからTN3187: Migrating to the UIKit scene-based life cycleがリリースされ、iOSアプリへのscene-basedライフサイクルの導入が必須化されました。
6月にはナンバリングが刷新された iOS 26のベータ版が登場し、不安定な挙動や破壊的変更に頭を抱えた方も多かったはずです。
そして 9月。iPhone 17シリーズの検証機を買い付け、iOS 26の正式リリースを見届けたあと、今年も恒例の iOSDC Japan 2025 が開催されました。有明セントラルタワーホール&カンファレンスでのクロージングはなんだかメモリアルで感動しました。
「ようやく一息…」と思った矢先に、年末の最終リリースがやってくる。
改めて振り返ると、やはり 充実した1年 だったことには間違いなさそうですね。
年末気分でざっと振り返りましたが、本記事では、2026年も開発者として充実した年になるように、今年のうちに見返すぞと決めたiOSDC Japan 2025のセッションを紹介しようと思います。
Swift Concurrency関連のセッション
去年の9月にXcode16がリリースされてから、Swift6への対応を本格的に考え始めたチームは多いのではないでしょうか。ミラティブでもUpcoming Featureを用いて段階的に対応を進めてきました。
特に、Swift Concurrencyを前提とした開発を行わなければいけないことは、移行のハードルを上げていたように思います。
そのハードルを下げるような転換点となり得るのが今年の9月にリリースされたSwift 6.2のApproachable Concurrencyでしょうか。ここについては、Swift6.2時代のconcurrencyを考える会というiOSDC Japan 2025のアンカンファレンスの資料が非常に勉強になりました。Default Actor IsolationとApproachable Concurrencyの設定によりSwift5時代に近い書き心地でSwift Concurrencyを扱えるのは強いメリットだと思います。
そのような事情も手伝い、2026年はSwift6への移行がより進んでいくのかなと思いました。また、"とりあえずで"移行した後には、並行性を意識した設計を本格的に進めて行くフェーズになると思います。自分自身、Swift Concurencyの知識はまだまだ不十分なので、Swift6移行後の環境に備えた準備をしたいと思っています。
去年のセッションになってしまいますが、treastrainさんのMastering AsyncSequence - 使う・作る・他のデザインパターン(クロージャ、Delegate など)から移行するというセッションが、Swift Concurrencyベースの環境でストリームをどう扱うべきなのかという疑問を解決してくれました。しっかり見返したいです。
Swift6への移行という点では、shzero5さんの止められない医療アプリ、そっとSwift6へというセッションが参考になりました。本質的に品質を高めることをゴールに置き、何を優先してどこまでやるかという戦略は移行時の参考になると思います。Swift6.2への移行についても触れられていたので、移行を控えている人はイメージが掴みやすいかもしれません。
改めて、現在進めているミラティブでのSwift6移行の進め方について振り返ろうと思いました。
(動画の所有者によってプレビュー表示は不可のようです)
アーキテクチャ関連のセッション
状態監視フレームワークとしてCombineと比較したときにObservationの方が差分更新などのパフォーマンス面で優位である点と、機能面やユースケースがシンプルで使い勝手が良い点で、新規ではよく採用されているように見えます。
現状だとミラティブではビジネスロジックについては非同期処理や状態監視もRxSwiftを用いています。Combineを用いているのに近い感覚だと思っています。
今後はSwiftUIを中心にした開発をより進めていきたく、どのようなアーキテクチャを採用するかを決めているところです。来年の開発を考える上で、アーキテクチャのキャッチアップは欠かせないと思いました。
SwiftUIを中心にした開発におけるアーキテクチャについては、terrypy6さんの「Chatwork」アプリにおけるSVVS実装戦略が非常に勉強になりました。
(動画の所有者によってプレビュー表示は不可のようです)
SVVSというアーキテクチャの紹介がされており、コンテキストを意識したライフサイクルの設計などはとても面白かったです。iOSDC Japan 2023でもChatworkの開発チームの方からSwiftUIに適した新アーキテクチャの導入に挑むというセッションにてSVVSについて発表されていますが、2年の時を経てCombineからObservationへの移行もされたようでした。来年でのミラティブでの開発のイメージを持つためにもまた見返して参考にしたいと思います。
まとめ
改めて、iOSDC Japan 2025に関わる全ての方に感謝を申し上げます!
今年は現地参加して直接刺激に触れることができてよかったです。2026年に向けて想いを馳せながらセッションを見返していると、現地で聞いた時よりも様々な観点が湧いてきて二度楽しめたような気がします。
では、また来年もよろしくお願いいたします。
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